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取組の方向1 「確かな学力の育成と生徒一人一人の教育的ニーズに応じた指導の充実
 全国学力・学習状況調査の結果によれば、国語の勉強を好きと答えている生徒の割合は、確実 に増加しており、数学においても同様の結果が見られる。また、国語の学習が大切である、学習 したことが社会に出て役立つと考えている生徒の割合も増加しており、数学においても同様の結 果が見られる。指導にあたって、生徒一人一人の特性に応じた指導の充実を図るとともに、生徒 の良い点に着目して評価する取組が確実に推進されている。
  一方で、文章の構成や展開・表現の仕方について根拠を明確にして、自分の考えをもつことや 文章の展開に即して情報を整理して内容を捉えることに課題があり、話合いの話題や方向を捉え ることはできているが、それらを踏まえて自分の考えをもつことにも課題がある。また、資料の 中から根拠となる情報を取り出して正確に書くことはできているが、自分の伝えたいことを根拠 として読み手に分かりやすいように書くことにも課題がある。数学においては、結論が成り立つ ための前提を考え、新たな事柄を見いだし、説明することや事象を数学的に解釈し、問題解決の 方法を数学的に説明することに課題がある。また、データの分布の傾向を読み取り、判断するこ とを通して、統計的に問題解決することにも課題がある。
〇    PISA2018 の調査結果によれば、科学的リテラシー、数学的リテラシーの分野において、日本 は国際的に見ると引き続き平均得点が高い上位グループに位置している。しかし、読解力におい てレベル5または6の高学力層に達している生徒は 10.3% であり、16.7% の生徒が基礎的習熟 度レベル(レベル2)に達しておらず、文章で表された情報を的確に理解し、自分の考えの形成 に生かしていけるようにすることや自分の考えを説明すること、複数の情報を取り出して整理し、 それぞれの関係を考察しながら解答することに課題がある。
   英語に関しては、教育振興基本計画に掲げた目標 50% には至っていないが、CEFR A1 レベ ル相当以上の英語力を有する生徒の割合は年々増加している。また、英語担当教員の英語力も年々 向上している。全国学力・学習状況調査の結果によれば、書くこと、話すことのどちらにおいて も、問われていることが分かれば、自分の考えなどをなんとか伝えようとする粘り強さや意欲が 見られる。一方で、基本的な語や文法事項等の知識を活用することに課題があり、話すことにつ いては全体的に課題が多く、特に即興でやり取りすることに課題がある。
〇    特別支援学級数と生徒数は、年々増加傾向にある。また、通常の学級における発達障害のある 生徒、またはあると思われる生徒が相当数在籍している。しかし、通常の学級における対応は、 学級担任または教科担任による個別の配慮にゆだねられている現状がある。
  また、グローバル化による人の流動により、日本語で日常会話が十分にできない生徒や日常会 話ができても、学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じている日本語指導 が必要な生徒が増加している。
〇    新型コロナウイルス感染症の拡大を抑止するため、学校の臨時休業期間が長期化したことによ り、子供たちに対する学習の保障等が大きな課題となっている
取組の必要性 
〇   全日中の教育課程に関する調査では、各学校における教育活動の中でも基礎的・基本的な知識 及び技能の習得に関する指導が、最も順調に進んでおり(81.6%)、全国学力・学習状況調査にお いても、我が国全体の学力の底上げが図られている状況が見られる。一方で、身に付けた知識・技 能を活用したり、必要な情報を取り出したりして、自分の考えを構成し、発信することに課題がある。
〇   これからの予測困難な時代にあっても、変化をチャンスに変え、多様な価値観をもつ人々との 協働により、新たな価値を創造していくためには、「主体的・対話的で深い学び」により、「確か な学力」を身に付けさせる必要がある。
また、このことを実現させるためには、学びの基盤となる読解力を含めた言語能力と膨大な情 報の中から必要な情報を取り出し、自らの考えを構成するための情報活用能力の育成も重要であ る。全日中の調査によれば、多くの学校が言語活動の充実に取り組んでいることから研究協議会 等をとおして優れた実践を普及するなど、一層の充実を図る必要がある。
〇   多様な価値観をもつ人々と協働していくためには、国際共通語としての4技能のバランスのと れた英語力向上を図るとともにコミュニケーション能力の向上を図る必要がある。
〇   特別な支援を必要とする生徒は増加傾向にあるが、生徒一人一人の自立と社会参加を推進する には、一人一人の障害の状態や発達に応じた指導や支援を一層充実させるとともに組織的・継続 的な指導体制を構築する必要がある。また、通常の学級においても、障害のある生徒が在籍して いることを前提に、全ての教科等において、一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな指導や 支援ができるような指導の工夫と指導体制の構築が必要である。
〇   外国にルーツをもつ生徒に対しても、生徒一人一人が日本語の能力に応じた支援を受け、学校 生活において、学習や生活の基盤を築けるような指導体制の構築が必要である。
〇   長期化した臨時休業期間に伴う学習の保障等のため、ICT を活用したオンライン授業等が提 唱されている。しかし、学校及び家庭における ICT 環境が十分整っていないため、地域間等の 格差が生じている。全ての子供たちに ICT を活用した学習を保障するため、ICT 環境の整備に ついて関係諸機関に対して強く働きかけていく必要がある
 提言1 確かな学力
  主体的・対話的で深い学びの実現を通して、生きて働く「知識・技能」、未知の状況にも対応 できる「思考力、判断力、表現力等」、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・ 人間性等」を育成する。  
  障害のある生徒、外国にルーツをもつ生徒、不登校生徒など、特別な配慮を要する生徒一人一 人の教育的ニーズに応じた指導を充実させ、生徒の自立と社会参加を支援する。

  ・PDCA サイクルに基づく授業の工夫・改善に向けた不断の努力による学びの質の向上    ・「何が身に付いたか」を的確に捉え、次の学びに向かう学習評価の推進
   ・読解力を含めた言語能力の育成    
   ・情報活用能力の育成    
   ・国際共通語である英語力の向上    
   ・特別支援教育の充実と交流教育の推進    
   ・インクルーシブ教育の推進    
   ・一人一人の生徒の実態に応じた支援の充実    
   ・いかなる状況下でも学びを保障するための ICT 環境の整備・充実 
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