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取組の方向9 教員が笑顔になり、その先にいる子供たちも笑顔になれるが濃く学校に
 おける働き方改革の推進
 文部科学省は、教員の勤務実態を実証分析するため、平成 28 年度と 29 年度の 2 か年につい て勤務実態調査を実施した。
   平成 29 年 4 月に公表された速報値によれば、平成 18 年度に実施した調査結果と比較すると 1 週間当たりの学内総勤務時間数は、いずれの職層においても増加傾向にあることが明らかになった。
〇     平成 29 年 5・6 月に、働き方改革に関する関係団体等のヒアリングが行われ、全日本中学校 長会は、   ・教員にしか担えない業務の明確化と本来業務に専念できる教育環境を構築   ・勤務時間管理を徹底するため、タイムレコーダーの導入   ・チーム学校の早期実現と教職員定数の改善による一人当たりの授業時数の削減   ・部活動指導員を雇用できるよう人材登録等のシステム構築と今後の部活動の在り方について社 会全体への周知   等を働き方改革推進のための要望事項として伝えた。
   平成 29 年 12 月には、中央教育審議会において、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校 指導・運営体制構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策(中間まとめ)」が 取りまとめられ、この内容を踏まえ、文部科学省において、業務の役割分担・適正化を進めるた めの方策や時間外勤務の抑制のための措置等を内容とする「学校における働き方改革に関する緊 急対策」が取りまとめられた。
〇     平成 30 年 2 月には、スポーツ庁より「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」 同年 12 月には、文化庁より「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が示された。
   平成 31 年 1 月には、中央教育審議会において、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校 指導・運営体制構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」 が取りまとめられた。また、同年3月に、勤務時間管理の徹底、業務の明確化・適正化、組織運 営体制の在り方などを内容とする事務次官通知が発出され、各教育委員会等において、「学校に おける働き方改革」の実現に向けた制度改正や新たな制度設計が推進されることとなった。様々 な施策が実行される中、12 月には給特法の一部を改正する法律が可決、成立した。また、本法 成立にあたって、衆参両院の文教科学委員会により示された附帯決議には、「学校における働き 方改革」を推進するための配慮事項として具体的な方策や検討事項が盛り込まれた。
   このように学校における働き方改革に関して、目まぐるしく状況が進展する中、令和元年 12 月に文部科学省から教育委員会における働き方改革のための取組状況調査の結果が公表された。 その結果、中学校の教員は、依然、厳しい勤務状況にあることが明らかになった。    勤務時間の上限に関するガイドラインにおいて示された超過勤務の上限の目安時間一か月あた り 45 時間以内に関しても、45 時間以下とした割合は、昨年度と比較して増加しているものの6 割以上が 45 時間を超えている。また、在校時間の把握方法について、タイムカード等、客観的 51 第2章 取組の方向 な方法で把握している市区町村教育委員会は5割弱であり、地域差があることも明らかになった。
   勤務時間の縮減を推進するためには、学校が「◯◯教育」等の新たな教育課題に取り組む際に は、スクラップ・アンド・ビルドによる業務量の調整が必要となってくる。しかし、このことに ついて、実施中、または検討中の市区町村教育委員会は、約6割にとどまっている。また、学校 における働き方改革を外部の力を活用して推進していくためには、保護者や地域・社会の理解や 協力を求めることが必要となってくるが、この取組を実施している割合も6割にとどまっている
取組の必要性 
〇    これまで、高い成果をあげてきた我が国の義務教育において、国際的にも高い評価を得てい る「日本型学校教育」を持続・発展させていくためには、その担い手である教員の長時間勤務 に代表される教員の働き方を改革することは、喫緊の課題である。
〇     「教育は人なり」と言われるように、これからの社会を創り出す子供たちの教育は教員に負う ところが大きい。教員の仕事は、子供たちへの教育を通し、未来社会を創り出すことに他ならない。 この崇高な目的を実現するために、教員は、日々、子供たちに向き合い、子供たちに学び、子供 たちによりよい教育を提供していく使命がある。
   そのためには、教員が時間的にも精神的にもゆとりをもって、教員本来の業務に専念できる環 境を社会全体で構築する必要がある。その環境の下、これまで学校教育において培われてきた指 導技術等のレガシーを確実に次代に継承していく必要がある。
〇     現在、働き方改革のための施策等を学校において、着実に実施するとともに、施策等の成果と 課題について「現場の声」として発信し、更なる制度改善を求めていくことが、日々、使命感を もって子供たちのために働いている教員を笑顔にし、その先にいる子供たちも笑顔にすることに つながる
提言4 働き方改革
      教員が自らの授業を磨くとともに、日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人 間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動ができるように、これまでの働き方を 見直す。
 学校及び教員の業務の範囲を明確にし、限られた時間の中で、教員の専門性を生かしつつ、授 業改善の時間や生徒に接する時間を確保できる勤務環境を整備する。
  ・勤務時間管理の徹底と勤務時間・健康管理を意識した働き方の推進    
・業務の役割分担の明確化・適正化に向けた取組    
・ベテラン教員の指導技術等の共有・活用と若手教員への継承    
・時間を軸にした学校組織マネジメントの確立と推進    
・地域人材や関係機関との連携促進
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